換毛期のケアについて
花冷えの時期も過ぎ、春の気配がようやく濃くなりました。冬物のコートは片づけて少し薄着で外へ出かけるこの季節。季節を感じて洋服を変える私達ですが、年中毛に覆われているお家のペットはどうでしょう?
実はペット達にも私達の衣替えと同じように季節に応じて「換毛期」という衣替えがやってきます。
わんちゃんの衣替え、換毛期
換毛期とは春と秋に2回くる、冬毛から夏毛へ、夏毛から冬毛へと変わる期間のことを言います。ちょうど人と同じように衣替えの季節に、わんちゃん達は気候に合わせて被毛を変化させます。
ダブルコート
柴犬、シベリアン・ハスキー、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリバー、スピッツ、ポメラニアン、チワワ、ダックスフント、ウェルシュ・コーギー、ボーダーコリー、フレンチブルドッグなど
シングルコート
プードル、シーズー、マルチーズ、ヨークシャーテリア、アフガンハウンド、ミニチュアピンシャー、グレートデンなど
換毛期に被毛が生え変わるのは、アンダーコートを持つ犬種です。そのため、ダブルコートの犬種は換毛期があり、シングルコートの犬種は換毛期がないと考えると良いでしょう。
ネコちゃんも衣替え??
ネコちゃんもわんちゃんと同じく 2 回換毛期があります。しかし、最近では室内飼いのネコが増えたため、大きな換毛期はなく、まんべんなく毛が抜 けるようになってきているようです。
しかし普段より抜け毛が多くなるため毛づくろい中に口から体内に入る毛の量はいつもよりも多くなります。その際に注意すべき毛球症というトラブルがあります。
毛球症(ヘアボール)とは
毛づくろいの際に飲み込んだ毛は、通常、排泄や嘔吐により毛を体外に排出します。しかしその際に、上手く排出出来ずに胃や腸で塊になってしまい体内に留まってしまう症状のことを言います。軽度の場合はフードやサプリメントを使用しますが、重度になってくると内視鏡手術や開腹手術になることもあります。
ケアの仕方はブラッシングとシャンプー
ペット達の基本のケアはブラッシングとシャンプーです。抜けた毛が残ってしまうと、毛玉が出来たり、皮膚トラブルにつながりかねません。抜け毛をしっかり取り去ることは、換毛促進、血行促進、皮膚を清潔に保つなどの効果もあるので、積極的に行うことをオススメします。
ブラッシングアイテム
1.ブラシ
ブラシの種類も様々あります。おうちのペットが短毛種、長毛種かで使用できるブラシに注意して使用しましょう。
・短毛種:ラバーブラシ、ピンブラシ、コーム、獣毛ブラシ
・長毛種:スリッカーブラシ、ピンブラシ、コーム、獣毛ブラシ
ブラシが苦手な子のためには手袋型のブラシもあります。
2.グルーミング用ウォーター
静電気を押さえる、毛の舞い散り軽減、毛の絡まり防止、皮膚・被毛ケア、などの効果があります。
シャンプーアイテム
1.シャンプー
シャンプーをすることで大量の抜け毛を洗い流すことが出来ます。最近では様々な種類のシャンプーが出てきました。低刺激の物や保湿成分の高い物を使用するのがオススメですが、まずは獣医さんに相談してみることをオススメします。
2.泡立て用スポンジ
被毛が汚れている場合、シャンプーの泡立ちが悪くなります。泡が立たないと汚れを浮かせて洗浄させるには何度もシャンプーしなければなりません。しかし、始めに泡を作ることで時間短縮やシャンプーの無駄使いをなくします。また、スポンジを使用して、顔回りを洗い流すと細かなところまで洗うことが出来ます。
シャンプーの注意点!
人間では毎日するシャンプーですが、ペットへのシャンプーのし過ぎは皮脂を奪い乾燥による肌トラブルの原因にもなりますので洗いすぎには注意しましょう。
また、お家の子にあったシャンプーを使うことで毛艶や皮膚状態が健康に保つことが出来ます。
やりすぎても脱毛することはありません!
換毛期ではびっくりするぐらいの毛がブラッシングによって抜け落ちます。やってもやっても抜ける毛に、ハゲてしまうのではと心配になると思いますが、もちろん通常の場合、ブラッシングでハゲることはありません。もしもハゲを見つけたり、出来てしまった場合には何らかの病気もしくはブラッシングのやり方に少し問題があるかもしれません!
長時間のブラッシングによっては皮膚を傷つけてしまったり、本来取り除かなくて良い毛まで取ってしまう可能性があります。ブラッシング終了の目安としてコームに毛の着く量が少なくなったらを基準にすると良いかと思います。また、ハゲが出来てしまった場合には必ず獣医さんに相談しましょう。
まとめ
換毛期はペット達にとって必要不可欠な期間です。シャンプーやブラッシングともうまく付き合っていけばリラックス効果も期待出来ます。日頃からケアをして、私達もペットも双方がストレスなく快適に過ごせるように意識して換毛期を迎えましょう!
記事制作・監修 獣医師 天野謙一郎
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